[グリーン経済新聞 = チェ・ソン記者]
![ハンファの SPACE キービジュアル [提供 : ハンファエアロスペース]](https://www.greened.kr/news/photo/202605/340418_391066_4358.jpg)
現代戦の幕開けを告げる最初の砲声は、もはや地上の軍事基地ではなく、地球上空数百から数千キロメートルの軌道上で鳴るだろう。軍事偵察、通信、ミサイル誘導など現代の軍事作戦のほぼ全てが衛星ネットワークに依拠しており、相手国の衛星を無力化するASAT(Anti-Satellite Weapon、反衛星兵器)技術が将来の戦争の勝敗を左右する重要な変数として浮上している。
専門家は宇宙を国家安全保障に直結する「第4の戦場」と定義する。衛星は現代戦で事実上、目に見えない神経網のように機能するからだ。偵察衛星は敵の移動や軍事施設をリアルタイムで監視する「目」となり、通信衛星は戦場の膨大なデータを束ねる「血管」の役割を果たす。精密誘導兵器の誤差を補正するGPS衛星は、武器システムの「脳」に相当する。
実際、ウクライナでの戦闘では衛星インターネットとリアルタイム情報共有が戦力の劣勢を覆す鍵となり、宇宙資産の重要性はあらためて示された。空軍予備役関係者は「大規模な紛争が発生した場合、相手の衛星網をまず麻痺させて『目と耳』を奪う側が初期の主導権を握る可能性が圧倒的に高い」と分析している。
宇宙覇権を巡るASAT技術競争はすでに現実の段階に入っている。2007年に中国が自国のミサイルで老朽衛星を直接破壊して大きな衝撃を与えた後、ロシアも衛星迎撃試験を継続している。これに対し、アメリカは宇宙軍(Space Force)を創設し、防御体制の構築に膨大なリソースを投入している。
現在開発されているASAT技術は単なるミサイル迎撃を超え、▲地上発射ミサイルによる直接打撃 ▲レーザーを用いた衛星センサーの撹乱 ▲電子戦による通信の麻痺 ▲敵衛星に接近して機能を無力化する「キラー衛星」 ▲サイバー攻撃による衛星制御権の奪取、といった形態へと進化している。
宇宙の軍事利用が進むもう一つの特徴は、民間企業の存在感の拡大だ。かつて国家主導だった宇宙インフラが民間へ移行し、商業衛星も戦略的価値を帯びている。SpaceXの低軌道衛星ネットワーク「スターリンク」がウクライナ軍の偵察や指揮統制で重要な役割を果たした事例は、民間企業が国家安全保障に与える影響力を象徴している。
この流れを受け、宇宙防衛産業は次世代の成長エンジンとして注目される。衛星通信、宇宙監視システム、AIを基盤とするデータ分析技術が結びつき、民間と軍を包含する巨大市場が形成される見込みだ。
韓国も独自の宇宙安全保障能力の強化に速度を上げている。政府は韓国型衛星航法システム(KPS)の構築と軍用偵察衛星事業を通じて対外依存を低減することに注力している。ハンファエアロスペースは次世代ロケットKSLV-Ⅲの開発に参加し、独自の宇宙輸送能力を確保しつつあり、韓国航空宇宙産業(KAI)なども衛星事業の拡大に力を入れている。
ただし、宇宙戦が本格化すれば、軍事的被害を超えて地球規模の災害を招く恐れがあるとの警告が出ている。国防部関係者は「GPSや通信衛星が麻痺すれば、金融決済システムの崩壊、航空や海運の運行停止、世界的なインターネット網の麻痺など、経済全般に致命的なリスクをもたらす」と指摘している。
結局のところ、ASAT技術競争は単なる兵器システムの拡張にとどまらず、将来の安全保障秩序と技術覇権を巡る争いだ。宇宙という巨大なチェス盤の上で誰が先に主導権を握るかが、今後の戦争の流れと国家の生存を左右する主要な指標となるだろう。













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