
ゲントでどこに行くか迷っているなら、こう思っているはずだ。ブリュッセルは都会的すぎ、ブルッヘは美しいが人であふれていそう。ベルギーで1日だけ、ちょっと違う場所に足を伸ばしたい――そんな気分だろう。
この街は大々的に名を売るタイプではないが、到着すると運河や城、大聖堂、路地、夜景など思いのほか見どころが揃っており、満足度が高い。ブルッヘより人出が少ない中世の風情、ブリュッセルよりゆったりした路地の空気。ここでゲントの日帰りモデルコースを紹介する。
聖バーフ大聖堂

ゲントで訪れるべき場所を一つだけ選ぶなら、ここだ。神聖ローマ皇帝カール5世が洗礼を受けた場所であり、ヤン・ファン・エイクの祭壇画『神秘の子羊の礼拝』を間近で見られる。
この祭壇画が特別なのは、1420年代半ばに制作が始まり1432年に完成したこの作品が、フランドル派の兄弟画家フーベルト・ファン・エイクとヤン・ファン・エイクによる共同制作で、学術的には「初期の重要な油彩画」と評されることもある、ヨーロッパ美術の傑作とみなされているからだ。
宗教改革や戦争、盗難など数々の苦難を乗り越え、ついに2020年に修復が完了して、聖バーフ大聖堂の本来の場所に戻った。大聖堂そのものも壮麗なゴシック建築で内部の見どころは多く、祭壇画を見なくても訪れる価値はある。
ゲントの鐘楼

聖バーフ大聖堂のすぐそばに立つ鐘楼は、ゲントのスカイラインを象徴する建造物だ。14世紀初頭に軍事目的で築かれ、高さ91メートルとベルギーで最も高く、ユネスコ世界遺産にも登録されている。
頂上には竜が棲むと伝えられ、ゲントへの侵略や火災を防ぐ役割を果たしたとされる。内部には竜の像や各種の鐘の模型、鐘楼の歴史を伝える展示があり、エレベーターで上ると旧市街の全景を一望できる。 鐘楼はリストから漏れがちだが、登れば後悔しない眺めを見せてくれる。
グラーベンシュタイン城

1180年、フランドル伯フィリップによって築かれた城で、フランドル伯の居城と呼ばれる。川辺にそびえる城塞内には中世の拷問道具が展示され、どこか不気味な雰囲気を漂わせる。外観だけでも圧倒されるが、内部の博物館には中世の武器や拷問器具が並び、意外に見どころが多い。
オーディオガイドの解説はユーモアが効いていて退屈しないし、屋上からの市街眺望は秀逸だ。 入場料は約13ユーロ(約1950円)、見学は約1時間30分あれば十分だろう。
グラスレイとコレンレイ

運河をはさんで向かい合う2つの堤の通りで、ゲントで最もフォトジェニックな景観が広がるスポットだ。11世紀以来、運河を通じて到着する物流の中心地だったこの通りは、道沿いに並ぶ中世のギルドハウスが今日ではレストランやカフェに姿を変え、訪れる人を迎えている。
フランドル・ルネサンス、ブラバント・ゴシック、バロック、新古典主義が並び、建築を眺めるだけでも日帰りの満足度が高い。昼間はボートツアーの出発地、夜は運河が黄金色に染まる夜景スポットに変わる。夕暮れにムール貝とフリッツを一皿前に座れば、それがまさにゲントだ。
聖ミカエル橋と夜景

ゲントを手短に回るなら、聖バーフ大聖堂と鐘楼を皮切りに、聖ニコラ教会 – コレンマルクト広場 – ゲント運河 – グラーベンシュタイン城の順に巡ると効率的だ。そして、すべての動線の締めくくりは聖ミカエル橋の上で行うべきだ。
この橋は、ゲントの3大スカイラインである鐘楼、聖バーフ大聖堂、聖ニコラ教会を一フレームに収められる唯一の地点だ。夜になると魅力が増す運河の街ゲントは、運河の夜景写真を見て旅先に即決したという人が多いほどだ。
日帰りなら、日没時にこの橋の上で一日を締めくくることを勧める。













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