
山道を歩む足跡はいつしか地域の歴史となり、その道の上で紡がれる食卓は文化として刻まれる。イベリア半島の長い時間は、羊飼いの暮らしの中に層を成して積み重なってきた。EBS1『世界テーマ紀行』4部作『味で読むスペイン・ポルトガル』第2回は、華やかな都市を離れ、山や平原を行き来して暮らす羊飼いの食卓に焦点を当てる。

28日に放送される第2回『羊飼いの食卓』は、スペインのギホ・デ・サンタ・バルバラから始まる。新石器時代から続く牧畜の地らしく、ここ山道は単なる移動経路を越えて生活の場であり、歴史そのものだ。毎日ヤギの群れを連れて山へ上るミゲル氏は、今も伝統的な方法で牧畜を続けている。ヤギは草を根こそぎ食べるため定地に留まらず常に移動する必要があり、そうして一日に7時間ほど山を往復すれば自然と体が鍛えられる。単なる労働に見えて、山を守り生態系を維持する仕組みでもある。
牧畜には別の掟もある。一定数以上の子ヤギは屠殺しなければならない。ほとんどは乳を得るために飼育されるため、個体数の調整が不可欠だからだ。この過程で、自然と子ヤギを食べる食文化が根付いた。放送では、ミゲル氏が差し出した貴重な食材に料理人の手が加わり、ヤギのローストとシチューが一皿に仕上がる。単なる料理を超え、牧畜と生存の論理がそのまま食卓に表れる場面だ。
旅は続いてスペイン北部のモントレベイ峡谷に向かう。ピレネー山脈を抱くこの地には、かつて羊飼いたちが季節ごとに移動した「羊飼いの道」が残る。現在はトレッキングコースとして知られるが、道の随所には実際の暮らしの痕跡が生々しく残っている。幼少期からこの峡谷を遊び場のように駆け回ったというハビエル氏と道を歩くと、単なる絶景を超えた物語が展開する。1960年代のダム建設で風景は変わったが、羊飼いたちの移動と記憶は今もこの道に刻まれている。
旅路は再びポルトガル南部の平原へ続く。ベジャを中心に広がる広大な牧草地では、スペインの山岳地帯とは異なる方法の牧畜が行われる。ここでは羊飼いたちが広い平原で羊を放牧し、カストロ・ヴェルデ周辺ではどこでも羊の群れに出会える。特にこの地域では、生後1年未満の子羊「ボヘグ」を主に食材として使う。その中でも目を引くのが「羊の頭のロースト」だ。やや馴染みがないかもしれないが、家畜のすべての部位を無駄なく使う文化から生まれた料理であり、貴重な財産である家畜を最後まで敬うやり方であると同時に、この地域の羊飼いたちの生活が凝縮された一皿だ。
『世界テーマ紀行』は今回の第2回で、牧畜という古くからの生業を通してイベリアの人々の暮らしを辿る。山を登り降りする一日の労働、世代を超えて受け継がれた掟、そしてその結果として仕上がる食卓まで。表面上は単純に見えるが、その内側には自然と共存して生きてきた暮らし方がそのまま刻まれている。
山と峡谷、そして果てしなく広がる平原に沿って続く羊飼いたちの生活と食文化を描いた『羊飼いの食卓』は28日午後8時40分に放送される。
※この記事は無償で作成されたことをお知らせします。













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