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“死亡者ゼロで終えた作戦”…伝説化したモガディシュと韓国の衝撃
1977年のルフトハンザ181便ハイジャック事件で、ドイツ連邦警察の特殊部隊GSG-9はモガディシュ空港に停められていた旅客機に閃光弾で突入し、わずか5分で乗客86人を全員救出、被害者ゼロで作戦を終えた。
乗客や乗員の中に死者が一人も出なかったこの事例は、現代の対テロ作戦の教科書に残る象徴的な出来事と評価される。当時の光景を目の当たりにした朴正煕大統領は「韓国にもあのような部隊が必要だ」と指示し、これが韓国初の対テロ専任部隊である第606特別作戦部隊(以下606部隊)誕生の直接の契機になった。

‘606’という数字さえ秘匿されていた初の対テロ部隊
606部隊は1978年6月1日、特戦司令部(特전사)傘下の第66特戦大隊を母体に分離・改編され、公式に創設された。編成上は特戦司令部所属だが、作戦・指揮系統は大統領警護室に属する独特の構造で、部隊名「606」自体が軍内部でも極秘扱いだった。
創設人員は全員が特戦司令部出身で、各旅団から武術の高段者、射撃の特等射手、体力優秀者のみを選抜し、将校2名、准士官18名を中核に精鋭化した。彼らは空軍航空医療院での精密な身体検査と身元確認を通過して初めて配属されるほど、選抜基準が厳しかった。
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目標は「GSG-9式の航空機対テロ」…金浦空港に張り付くように拠点を置く
606の核心任務はGSG-9をモデルにした航空機対テロだった。金浦空港付近に宿舎と総合訓練場を置き、韓国航空(大韓航空)から提供された退役旅客機を訓練機として実際の機内構造と同等の環境で突入訓練を繰り返した。
夜間に飛行機を「ハイジャック機」に見立て、閃光弾・催涙弾・実弾射撃を組み合わせて客室ドア突破→狙撃→人質の保護まで想定した一連の動作を実戦さながらに練習したという証言が残る。高高度降下(HALO)、SCUBAによる水中侵入などの特殊浸入技術に加え、CQB(近接戦闘)、狙撃、人質制圧術を集中的に磨き、「韓国版GSG-9」を育てることを目標にした。

報道露出「0」…存在自体が機密扱いの部隊
606部隊は創設から解体に至るまで、事実上報道に一切露出しなかった。朴正煕襲撃後に青瓦台(大統領府)警護体制が大きく揺らぐ中でも、606は大統領警護室の指揮下、青瓦台周辺や金浦空港一帯でひそかに対テロの待機体制を維持していた。
1987年の大韓航空858便爆破事件の際には、北派による報復作戦や航空機ハイジャック対応のシナリオ検討が内部で交わされたが、外交的・政治的負担のため実際の投入には至らなかったという回顧もある。雑誌「新東亜」のインタビューによれば、606出身の将校たちは「自分たちが存在したことを家族にも言えなかった」と回想するほど、部隊の身元は第2級軍事機密として扱われていた。

707に受け継がれたDNA…だが「606級の専門性は再現困難だ」
1980年代に入ると国家対テロ指針の制定とともに、特戦司令部傘下の707特殊任務大隊(現707特殊任務団)が公式の対テロ主力部隊として浮上し、606の任務やノウハウの相当部分が707に移された。707はアジア大会やオリンピック対策、在韓米軍や海外特殊部隊との合同訓練などを通じて公開活動と実戦経験を積み、「国家代表の対テロ部隊」というイメージを確立した。
しかし606出身のイ・ボンサン予備役少佐らは「707が対テロ任務を遂行しているが、航空機の人質救出のような超精密な対テロ専門性は606の方が深かった」と述べ、606の解体を「国家的な大損失」と評価する。単一任務(航空機テロ)に戦力を集中し、少数精鋭で維持した構造は、今日のように多様な任務を担う707体制では再現が難しいという指摘だ。

なぜ解体されたのか…政権交代と「朴正煕の影」
606の終焉は軍事的必要性よりも政治的変動と深く結びついていた。10・26以降、朴正煕体制の清算と文民政府への移行過程で、大統領警護室直轄、朴正煕の指示で創設された606は「遺産」であり潜在的な政治的負担と見なされた。正式な編成と予算が特戦司令部と警護室の間で曖昧に分かれている構造も、制度の中で長期的に存続するには不利な要素と分析されることが多い。
結局、1990年代初頭の文民政府発足とともに部隊は静かに解体され、訓練記録や編成資料の相当部分が廃棄されたため、具体的な活動の詳細は軍内部の証言や一部の記事で語られるのみの「伝説の部隊」となった。

「死亡者0」の志は、今どこに残るのか
現在、韓国の公式な対テロ主力は707特殊任務団、海軍UDT、警察の特殊部隊、海警の特殊部隊など複数の組織に分担されている。しかし、航空機の人質救出に特化し、極めて少数の精鋭で構成された非公開の専任対テロ組織は、606の解体以降再編されていない。
606出身者たちは口をそろえて「GSG-9のように人質の死者をゼロにすることを目標に特化した対テロ部隊は、政治的・世論的リスクや予算構造を考えると、韓国で再び作るのは容易ではない」と語る。それでも606が切り開いた航空機突入術や高空・海上侵入戦術は707や他の特殊部隊の教範や訓練に組み込まれ、今も韓国の対テロ能力を目に見えないところで支えている。













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