
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、あらゆるミサイル防衛システムを突破できると豪語した最新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」の年末配備を公式に発表した。
西側の同等弾頭より4倍以上強力で射程が3万5000kmを超えるとされるその主張は、国際社会の緊張を一気に高めた。
だが、この兵器が恐ろしい本当の理由は、単なる破壊力の大きさだけではない。
サルマトの本質は一つの巨大爆弾ではなく、複数の核弾頭を搭載し、地球の反対側にある異なる目標を同時に攻撃できる巨大な「核トラック」である点にある。
1発で複数都市を分断する「多弾頭核トラック」

サルマトが既存の兵器体系と一線を画す最大の特徴は、多弾頭各個目標再突入体(MIRV)能力にある。
通常のミサイル防衛は飛来する単一弾頭を迎撃する設計だが、サルマトは大気圏外で10〜16個の独立核弾頭に分離し、それぞれ別の都市や軍事基地に向けて落下させることが可能だ。
米戦略国際問題研究所(CSIS)の資料によれば、サルマトは総重量約208トン、ペイロードだけで10トンに達する超重量ミサイルと推定される。
弾頭一つ一つの威力も現代の戦略核弾頭と同等であり、サルマト一発が正常に作動すれば、主要大都市や重要な軍事拠点を同時に攻撃する分散攻撃が可能になる。

さらに、実弾の核弾頭とともに敵のレーダーを攪乱するデコイを混ぜて発射したり、極超音速滑空弾を同時に搭載したりすることも可能で、迎撃側にとって完全な迎撃は事実上困難だ。
3万5000km射程の真相と配備の不確実性
プーチン大統領が地球一周(約4万km)に迫る3万5000kmの射程をあえて強調したのには、高度な戦術的計算がある。
通常ロシアのICBMは、最短経路である北極方向を経由して米本土へ向かう。米国の早期警戒レーダーや迎撃システムはこの方向を中心に監視している。
一方で、サルマトの射程を最大化すれば、監視の手薄な南側(南極方向)へ回り込み、目標の背後を突く変則軌道を描くことが可能になる。

しかし、西側の専門家たちはロシアの発表を額面通りに受け取ってはいない。
公開されている軍事データは、サルマトの一般的な射程を約1万8000kmと見積もっており、3万5000kmという数値は特殊な軌道爆撃を想定した宣伝的な数字である可能性が高いと分析されている。
何よりサルマトの実戦配備はこれまで多くの困難に見舞われてきた。2018年の初公表以降、配備は数年遅延し、2024年9月には試験発射の失敗で発射台に巨大なクレーター状の損傷が生じたと報じられたこともある。
結局、今回の年末配備宣言は、完成度の高い新兵器の電撃的登場というよりも、老朽化した既存ミサイルを置き換える過程で、西側に対して強力な核抑止力を誇示する政治的メッセージの色合いが強いと分析されている。













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