時価総額2兆ドルIPOを前に飛び火
過度な民間企業依存が問題視される
イーロン・マスクの宇宙企業スペースXが史上最大規模の企業公開(IPO)を予告するなか、同社の低軌道衛星サービス「スターリンク」の通信障害で米海軍の無人艦艇試験が大きな支障をきたしたことが明らかになった。単一の民間企業に国家安全保障の中核インフラが過度に依存しているとの指摘が出ており、米株式上場を控えた同社にとって悪材料が浮き彫りになったとの見方もある。
ロイターによると、16日(現地時間)の報道で、昨年8月に米海軍が実施した無人船の試験が約1時間中断したと伝えられた。当時、海軍は中国との衝突を想定して対応能力を強化するため先端システムを検証していたが、それを支援していたスターリンクの通信網に障害が生じたためである。その結果、カリフォルニア沿岸近くに配備された20隻余りの無人水上艇が通信を失ったまま漂流するという前例のない事態が発生した。
同様の問題は繰り返し発生していたことも判明した。実際、昨年4月の無人船やドローンの試験でも、多数の機器を同時に制御する過程でデータ使用量が急増し、スターリンクでエラーが発生するなど限界が浮き彫りになったという。
今夏、企業価値2兆ドル(約280兆円)規模のIPOを推進するスペースXは、衛星通信やロケット打ち上げなど多様な技術で米政府の主要なパートナーに位置づけられている。とりわけスターリンクは約1万機に達する低軌道衛星網を基盤に、主要な軍事プログラムにも利用される重要な存在だ。
しかし最近の米海軍での一連の事態は、スターリンクへの高い依存度が米軍の構造的脆弱性につながる恐れがあるという懸念を招いている。単一企業への過度な依存は安全性や安定性を損なう可能性をはらんでいる。
とはいえ、現実には代替手段が乏しいとの見方もある。低軌道通信分野ではスペースXが競合を圧倒しているためだ。そのため通信障害や独占的地位に伴うリスクよりも、安価で広範な商用サービスがもたらす実益が重視されていると分析される。ハドソン研究所のブライアン・クラークは「広範な接続性を提供する利点のため、一定の脆弱性を受容している」と述べた。
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